人形

真冬の昼間、火が点ったストーブがキッチンを暖めていた。流し台の上に男の人形がのっている。バービー人形程のおおきさのそれは元々この家のものではなかったが、まるで家の住人のように自在に動き回る。唐突に、人形は水道の蛇口に頭を潜らすと、トレンチコート姿のまま流れ出る水を浴びる。
次の瞬間、人形は窓の向こうにいて、光眩しい雪道のなかをどこかに向かって歩いていった。 (1/02/00)


top | archives | en