謎めいた手帳

小脇に薄手の手帳を抱えている男と向き合って話をしていた。話しながらその男は、何かを確認するかのように度々その手帳を開いた。そして男は、ほんの一瞬だけそれに目を落とすと、さり気なく目線をこちらにもどし再び話を続けるのだった。そんなことを繰り返しているうちに、わたしはそこに何が書かれてあるのかが気になり、開かれた頁をさりげなく覗き見た。何かがきらりと眩しく反射した 。開かれた頁は、一面が鏡だった。 (3/11/00)


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