空飛ぶハンバーガー |
下北沢の或る木造アパートメントは、古くとも住人によってスタイリッシュにまとめられた処だった。私は、玄関口の向こうに開放的に開け放たれた、其々の部屋を見ていた。 住人達は、揃ってボヘミアン風の装いをし、寛いだ雰囲気を漂わせていて、私を建物の中へと招きいれてくれた。 住人のひとりと話をしていると、うちの茶縞の飼い猫がふらりと現れた。 徐に誰かが彼女にハンバーガーを放り、猫は前足でそれを受けた。 何故かしら、猫はさらにそれを回転させると、ふたたび宙へと放ってみせた。 ハンバーガーは上のバンズ一枚残してどこかへ飛んで行き、残ったバンズは猫の額のあたりで未だクルクルと回転していた。 猫は、そんな偶然の結果が気にいったのだろう、顔に笑みを浮かべているようだった。(5/03/00)