眠るイルカ

中学生3年と1年の姉とわたしは、客船の中ような場所に迷い込んでいた。そこに人だかりが出来ている場所があり、私はそれを見に行く。其処にはイルカが四、五頭、並んですやすやと眠っていた。側で困った顔の支配人が「本当なら彼等はここでショーを披露するはずなのですが」と呟いた。

近くに、わたし達のこと知っているかのように親しげに話かける女性がいた。突然、壁に掛かっている電話が鳴り、その女性が受話器を取る。電話が済むと、彼女は急にぐったりとした、今の電話が彼女の余命を知らるものだと打ち明けた。彼女の白い顔はみるみるうちに苔のような緑色に塗りつぶされた。咄嗟にわたし達は彼女に思いつく限りの言葉をかけるが、どれも慰めにならない。 (2/7/01)


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