男がドリルで岩に直径2cmほどの穴を開けた。 それを見ていた私は、好奇心から開いた穴を覗いてみたくなった。開いた穴の内側には層が出来ていることを期待したが、わたしが見たものは、どうもそこに挟まっているらしい何か不自然なものだった。すると男は穴の周辺から素手で岩を砕き始め、なかから一冊の文庫本を引っ張り出した。 本には、さっきドリルで開けたときの穴がくっきりと開いていた。 男は本を空に翳すと、穴から遠くを眺めた。(8/29/01)