再会

実家の近くで幼少の頃の同級生に会う。彼とは特に仲が良かったわけではなかったが、幼稚園で同じクラス、小学校低学年では確かクラス違いにあったように思う。それ以降の彼に関する記憶は殆どない。

さりげなく視界に現れた彼は当然立派な大人になっていたが、その面影からわたしはすぐにその人と気づく。彼はこちらに近寄って来るなり、何故か歳の近いわたしの姉のことについて訪ねる。わたしはそのことに少し落胆しながらもその問いに応える。同時にわたしの中では、彼の名前や昔の出来事の断片が自分でも意外な程するすると蘇る。

小学校にあがりたての頃、わたし達は幾たびかいっしょに下校したことがあった。それは偶然に、彼が学校からほど近くにあったわたしの家の前の道を通学路にしていたからなのだが、わたしはよく喋り、彼はひとつの質問に時間を掛けて返事をした。わたしは彼が家の前で別れたあと、どの路地へと折れ、またどちらの方角へ向かって行ったかを、彼の背中と共に記憶していた。

大人になったわたし達は、かつての通学路を再び歩いている。あの頃は、秋になれば学校の庭や街路樹に降り積る枯葉が堆く山をつくり、その枯葉のなかを、子供達はわざわざ掻き分けるようにして歩いたものだ。そんなことを話すと、彼もまた昔を思い返しているようだった。そしていまも、あの時のように紅葉した枯葉が道を占拠している。風に散らばる葉は、秋晴れのもとで美しく輝いている。

次の瞬間、目の前を突然大きな作業車が通りがかって、葉の山をどんどん除去し始める。あっという間に冷たいアスファルトが顔を出し、我々は大人をまっとうしなければならない時間まで引き戻される。頭のなかがすっかり小学校低学年の頃にもどり掛けていたわたし達は、せっかくの枯葉の絨毯を踏みしめようと、まだ沢山の葉が残っているずっと向こうまで駆け出して行く。(1/01/04)


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