外人墓地

知人とその娘達と、外人墓地のある街に来ていた。いちめんに整然と並んだ花崗岩と手入れの行き届いた芝生の上には、まだ夏の名残りをとどめる太陽が燦燦と光を降り注いでいる。子供達は楽しげに辺りを歩き回り、ときに碑の狭間に咲く花を愛しんでいる。

私達は、ふと墓地から離れた遠くの風景に眼を向ける。ここから2ブロックも先であろうか、高い大きな建物がゆっくりと傾き、やがて崩れ落ちた。災害が街を襲ってからというもの、このような二次的被害を目の当たりにする事ももはや日常のようになっていた。

この辺りも危ないね―

風にのってやってきた砂埃が宙を舞ってきらきらと輝く。出来るだけ早くこの場所から離れようと子供達の母親が娘達を急かしてみるけれど、少女達は、未だ花の冠に夢中だ。

帰りみち、人が二人並んで歩けないほどの細い園路を、私達は一列になって、まっすぐに敷き詰められた正方形の踏み石を、ひとつひとつ、もどかしげに踏みしめる。(10/24/2005)


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