暴走する車 |
車に乗って緑の草木に囲まれた赤土の道を走っていた。その車にはアクセルやハンドルといったものが何もついていなかった。道は進むほどその道幅を狭くしていったが、スピードはどんどん加速していた。わたしにできることといえば、前を見守ることだけだった。時折、様々なものの影が視界に入っては消えていった。
ひどく細い道の脇にひとりの年老いた女性が立っていた。その女性にぶつからないようにと願いながら、私は彼女の立っている方と反対へ自分の姿勢を傾けた。すると車も一緒にそちら側の路肩に乗り上げくれ、やっと車は停止した。まん前には一本の登ったら気持ちのよさそうな樹が生えていた。老女は、こちらが暴走してきたというのに私の方を向いて頭を下げていた。車を出ると、そこは教会の敷地内で私は建物の中へ入って行く。すぐにひとりの聖職者が私をある部屋へ案内し、そこでわたし達は黒板に書かれてある数学の問題を解きはじめた。(6/19/02)