立体的な川

空き地の地面に大きな川が流れを作っていた。碧い川の水は深く澄みわたり、見えない水槽で覆われているかのように長方体の形を保いる。川は、ちょうどわたしの目の前の所だけ二つに割れていた。にもかかわらず、水は何処かで堰き止められることもなくたゆたっていた。

割れた川の側面が切り立った氷のような断層になっている。私はその割れた隙間に自分の身を滑り込んでみた。川の高さは自分の胸元ほどもあったが、裂け目の所にいる限り濡れることはなかった。わたしは水面に手を伸ばし、波のラインを指でなぞった。(9/05/02)


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